SEO対策、結局まず何をやるべきか
SEO対策を始めたいが何から手をつけるべきか分からない中小企業へ。内部対策・外部対策・コンテンツSEOの優先順位と、最小工数で成果を出すための考え方を解説します。
SEO対策の9割は「順番」を間違えて失敗している
SEO対策を始めようとする中小企業の多くが、最初にやることを間違えます。「とりあえずブログを書こう」「まずはtitleタグを直そう」「被リンクを増やさないと」。どれも間違いではないのですが、優先順位が違う。
SEO施策は大きく3種類に分けられます。内部対策(サイトの技術的な整備)、外部対策(被リンクやサイテーションの獲得)、コンテンツSEO(記事やページの作成)。この3つをバランスよくやりましょう、と教科書には書いてあります。
でも現実には、中小企業のリソースは限られています。全部同時にはできない。だからこそ「何からやるか」が成果を大きく左右します。結論から言えば、多くの中小企業にとって最優先はSEOではなくMEOです。そして、SEOに取り組むなら外部対策が最も差がつくポイント。内部対策は「やって当たり前」のレベルで、ここに予算をかけすぎるのは得策ではありません。
内部対策は「できていないと減点」されるだけで加点はない
内部対策とは、サイトの技術的な土台を整えること。具体的にはtitleタグやmeta descriptionの設定、見出し構造の最適化、サイトマップの送信、ページ表示速度の改善、モバイル対応、SSL化など。
これらは重要です。重要ですが、差がつくポイントではありません。
内部対策は「試験の足切り」に近い
たとえるなら、内部対策は入試の足切りラインです。基準を満たしていないと評価の土俵にすら乗れない。でも、足切りラインを大幅に上回っても、それだけでは合格できない。
SSL化されていないサイト、モバルで表示が崩れるサイト、titleタグが空のページ。こういった基本的な問題があると、Googleはそもそもまともに評価してくれません。だから最低限の対応は必須です。
ただし、titleタグを完璧に設定し、構造化データを隅々まで実装し、Core Web Vitalsのスコアを100点にしたところで、それだけで検索上位は取れません。内部対策で競合に差をつけるのは、ほぼ不可能です。なぜなら、まともに運営されているサイトなら、どこも基本的な内部対策はやっているからです。
内部対策に数十万円かける必要はない
SEO業者に内部対策を依頼すると、初期費用30〜50万円、月額5〜10万円という見積もりが出ることがあります。やっている内容は、titleタグの見直し、メタディスクリプションの設定、サイトマップの最適化、表示速度の改善提案。
正直に言うと、これらの作業は自社でもできます。WordPressならYoast SEOやAll in One SEOのプラグインで大半は対応できますし、表示速度はGoogle PageSpeed Insightsで問題点を確認して一つずつ潰していけばいい。
(内部対策だけで月額10万円取っているSEO業者を何社も見てきました。やっていることは管理画面の設定変更とレポートの送付だけ、というケースも珍しくありません)
外部対策が最も検索順位に影響するが、中小企業には一番難しい
Googleのランキング要因の中で、被リンク(外部のサイトから自社サイトへのリンク)は依然として最重要の要素の一つです。Googleの初代アルゴリズムであるPageRankの基本思想は「良いサイトは多くのサイトからリンクされている」であり、この原則は20年以上経った今も根底にあります。
被リンクの質と量が、検索順位を左右する最大のファクターです。内部対策をどれだけ完璧にしても、コンテンツをどれだけ書いても、被リンクがなければ上位表示は難しい。これがSEOの現実です。
被リンク獲得は「営業活動」に近い
問題は、被リンクを自然に獲得するのが非常に難しいことです。大企業なら、プレスリリースを出せばニュースサイトに取り上げられ、自然とリンクが集まります。上場企業なら、IR情報だけで被リンクが発生します。
中小企業にはこのアドバンテージがありません。良いコンテンツを書いても、知名度がなければ誰にもリンクされない。ここが中小企業のSEO対策で最も苦しいポイントです。
では、中小企業はどうやって被リンクを獲得するのか。現実的に機能する方法はいくつかあります。
業界メディアへの寄稿は、最も再現性が高い手法です。税理士なら税務の専門メディアに、飲食店なら地域の情報サイトに、IT企業ならテック系メディアに記事を寄稿する。記事内に著者プロフィールとして自社サイトへのリンクが入ります。
他社のコンテンツを監修するという方法もあります。「○○について△△氏(株式会社□□ 代表)監修」という形で名前とリンクが掲載されるパターンです。専門性が高い業種ほど、この手法は効きます。
地元メディアや業界団体のサイトに掲載されることも有効です。商工会議所の会員一覧、地域のビジネスディレクトリ、業界団体の会員紹介ページ。これらは被リンクとしての価値もあり、地域ビジネスの信頼性にもつながります。
サイテーション(言及)もGoogleは見ている
被リンクだけでなく、リンクなしの言及(サイテーション)もGoogleは評価していると考えられています。SNSでの言及、口コミサイトでの社名の登場、ニュース記事での紹介。リンクが付いていなくても、企業名やサービス名がWeb上で言及されること自体に価値がある。
Googleは2024年のAPI漏洩で、サイトの「ブランド力」をランキング要因として考慮していることが示唆されました。つまり、被リンクという直接的なシグナルだけでなく、Web上での存在感そのものが重要だということです。
コンテンツSEOは有効だが、AI Overview時代で状況は変わりつつある
「質の高いコンテンツを書けば上位表示される」。これはSEOの基本原則であり、今も正しいです。ただし、費用対効果は以前ほど良くありません。
記事を書いても読まれにくくなっている
GoogleのAI Overviewが検索結果の上部に表示されるようになり、オーガニック検索結果のクリック率は低下傾向にあります。ユーザーがAI Overviewの要約で満足してしまい、個別の記事をクリックしない。
1記事あたりの制作コストが3〜5万円(外注の場合)として、そこから流入するユーザーが以前より減っているなら、投資対効果は悪化しています。「月に30記事書けば流入が増える」という量産型のコンテンツSEOは、もう通用しにくい。
それでもコンテンツSEOをやるべき理由はあります。まず、質の高いコンテンツは被リンクを引き寄せる力があります。次に、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を示す場としてコンテンツは不可欠です。さらに、AI検索時代においてもLLMOの「材料」として自社の情報がWeb上に存在している必要がある。
ただし、「とりあえず量を書く」から「少数でも圧倒的に深い記事を書く」へ、戦略の転換は必要です。
中小企業のコンテンツ戦略はニッチに絞るのが鉄則
大手メディアが「SEO対策とは」「確定申告のやり方」といったビッグキーワードの記事を網羅的に出している中で、中小企業が同じ土俵で戦うのは無謀です。
勝てるのはロングテールキーワード。「渋谷区 相続税 税理士 費用」「製造業 ISO取得 コンサル 東京」のように、検索ボリュームは小さいが、具体的なニーズが明確なキーワードです。月間検索数が50〜200程度でも、コンバージョン率が高ければ十分にペイします。
自社の専門領域と地域を掛け合わせたキーワードで、本当に役立つ記事を10〜20本書く方が、汎用的な記事を100本書くよりも成果に繋がります。
地域ビジネスならMEOが最優先
中小企業で、来店型やエリア限定のサービスを提供しているなら、SEOよりもまずMEO(Googleビジネスプロフィールの最適化)に取り組むべきです。
Googleマップで表示される方がSEOより即効性がある
「渋谷 税理士」で検索すると、オーガニック検索結果の上にGoogleマップのローカルパック(上位3件の地図表示)が出ます。ここに表示されるかどうかは、SEOとはまったく別のアルゴリズムで決まります。
MEOの良いところは、SEOに比べて競合が少なく、対策の即効性が高いことです。Googleビジネスプロフィールの情報を充実させ、口コミを集め、投稿を定期的に行うだけで、1〜3ヶ月で上位表示される傾向があります。(もちろん、地域やジャンルによります。「渋谷 ラーメン」のような激戦区は別です)
MEO対策でやるべきことは明確
Googleビジネスプロフィールのすべての項目を埋める。営業時間、サービス内容、写真、商品情報。空欄は少ないほど良い。週1回以上の投稿を続ける。そして、実際の顧客に口コミを依頼する。これだけです。
口コミの数と評価は、ローカルパックの表示順位に直接影響します。Googleの公式ヘルプにも「クチコミ数とスコアがローカル検索結果のランキングに影響する」と明記されています(出典 Googleビジネスプロフィール ヘルプ)。
月額費用はゼロ。Googleビジネスプロフィールは無料です。SEOに月額10万円払う前に、まずこちらを徹底する方がはるかに合理的です。
中小企業がやるべき順番は「MEO→コンテンツ整備→外部施策」
ここまでの内容を踏まえて、中小企業がSEO対策に取り組む際の現実的な優先順位を整理します。
最初にやるべきはMEOです。地域ビジネスであれば、Googleビジネスプロフィールを整備して口コミを集めることが、最も費用対効果の高い集客施策になります。費用はゼロ、効果は1〜3ヶ月で見え始めるケースが多い。
次に、自社サイトのコンテンツを最低限整備します。サービス内容のページ、料金ページ、会社概要、よくある質問。検索ユーザーが求める情報を過不足なく掲載する。この段階では大量の記事を書く必要はありません。コアとなるページを10〜15本、丁寧に作ればいい。
その上で、外部施策をコツコツ積み上げます。業界メディアへの寄稿、地域の団体への参加、顧客事例の公開(顧客の許可を得た上で)、セミナーやイベントへの登壇。これらは一朝一夕では成果が出ませんが、半年、1年と続ければ着実に被リンクとサイテーションが蓄積されていきます。
この順番が重要です。内部対策から始める会社が多いのですが、内部対策は最低限やれば十分。それよりもMEO、コンテンツ、外部施策の順番で進めた方が、限られたリソースで最大の成果が出ます。
「SEO対策します」の9割は内部対策だけで終わっている
SEO業者を選ぶ際の注意点も触れておきます。「SEO対策を月額○○円で請け負います」という業者の中身を見ると、やっていることの9割が内部対策というケースが非常に多い。
提案内容で業者の質は見抜ける
見積もり段階で「内部対策レポート」「技術的SEO監査」「サイト改善提案」ばかり並んでいたら要注意です。それは最も工数が少なく、最も成果に直結しない部分を売っているだけです。
良いSEO業者は、コンテンツ戦略と外部施策の提案を含めてきます。「どんなキーワードで、どんな記事を、どのくらいのペースで書くか」「被リンク獲得のためにどんなアプローチを取るか」。ここに具体的な回答がある業者は信頼できます。
逆に、「まず内部対策を半年やって、そこから考えましょう」と言ってくる業者は避けた方がいい。内部対策に半年もかかるサイトは稀ですし、半年分の費用を回収するための引き延ばしの可能性が高い。
成果保証をうたう業者は信用しない
「3ヶ月で検索1位にします」「順位が上がらなければ全額返金」。こういった営業トークを使う業者は、SEOの仕組みを理解していないか、顧客を騙しているかのどちらかです。
Googleの検索順位は200以上の要因で決まると言われており、アルゴリズムの変更も頻繁に行われます。どんな優秀なSEO業者でも、特定の順位を保証することは不可能です。「一般的に3〜6ヶ月程度で効果が見え始めるケースが多い」くらいの表現をする業者の方が、よほど誠実です。
(「検索1位保証」でGoogle検索してみてください。そういう業者のサイトが1位に出てこないことが、何よりの証拠です)
最後に
SEO対策は、正しい順番で取り組まなければ成果が出ません。内部対策に予算を投じすぎる前に、MEOを整備し、最低限のコンテンツを揃え、外部施策を積み上げる。この優先順位を守るだけで、限られたリソースでも成果に繋がる可能性は大きく変わります。
SEOは短期決戦ではなく、半年から1年単位で効果を見ていく施策です。成果を保証することは誰にもできませんが、正しい方向に積み上げていけば、着実にWebからの集客基盤は育っていきます。
サイシアでは、中小企業の予算とリソースに合わせた優先順位の設計からお手伝いしています。「SEO業者に言われるがまま契約して、効果が出なかった」という方も、「これからSEOを始めたいが何からやるべきか分からない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。