Dental Clinic

自費診療に絞ると費用対効果が合う理由

歯科医院がリスティング広告で成果を出すための考え方。保険診療ではなく自費診療に予算を集中させる理由、医療広告ガイドライン対応、地域ターゲティングの設定方法を解説します。

歯科医院のリスティング広告

保険診療にリスティング広告を出しても採算が合わない

歯科医院がリスティング広告(Google広告の検索連動型広告)を始めるとき、最初に理解すべきことがあります。保険診療のキーワードに広告を出しても、費用対効果は合いません。

「歯医者 近く」「虫歯 治療」「歯が痛い」。これらのキーワードで広告を出すと、1クリックあたり200〜500円程度かかります。保険診療の初診単価は3,000〜5,000円程度。10人がクリックして1人が予約したとすると、広告費は2,000〜5,000円。利益がほぼ残りません。

しかも保険診療の患者はGoogleマップで歯科医院を探す人が大半で、広告をクリックする人の割合自体が低い。広告費をかける意味がほとんどないのが現実です。

自費診療なら1件の成約で広告費を回収できる

一方、自費診療のキーワードに広告を出すと話が変わります。

インプラントは1本30万〜50万円、矯正は50万〜100万円。1件の成約で得られる売上が大きいため、広告費をかけても十分にペイします。「インプラント 〇〇市」のクリック単価が500〜1,500円だったとしても、20クリックで1件の問い合わせが来て、その半数が成約すれば、広告費1〜3万円に対して売上30万円以上。費用対効果は明確です。

歯科医院のリスティング広告は、「保険診療はやらない、自費診療だけに集中する」。この判断ができるかどうかで成果が決まります。(保険診療にも広告を出して予算を分散させている医院をよく見ますが、もったいないとしか言えません)

狙うべきキーワードは3つの軸で決める

自費診療のリスティング広告で成果を出すには、キーワードの選定が重要です。闇雲にキーワードを登録しても、予算が分散するだけで成果は出ません。

治療名 + 地域名が最優先

最も成約率が高いのは「治療名 + 地域名」のキーワードです。「インプラント 〇〇市」「矯正歯科 〇〇区」「マウスピース矯正 〇〇駅」。これらは「どこで治療するか」を探している段階の患者が検索するキーワードであり、問い合わせにつながりやすい。

まずはこのキーワード群に予算を集中させてください。月額5万〜10万円の予算であれば、インプラントと矯正の2治療 × 主要地域名2〜3個で十分です。

費用系キーワードは比較検討層を取れる

「インプラント 費用」「矯正 いくら」「ホワイトニング 料金」。費用を検索している患者はまだ医院を決めていない段階ですが、治療を受ける意思は固まっています。広告のランディングページに料金表を明確に載せておけば、そのまま問い合わせにつながるケースが多い。

不安系キーワードは除外した方がいい場合もある

「インプラント 失敗」「矯正 後悔」「インプラント 危険」。これらの不安系キーワードは検索ボリュームがありますが、広告で獲得するには向いていません。不安を持っている段階の患者は、広告をクリックしても問い合わせには至りにくい。予算が限られている場合は、不安系キーワードは除外設定にして、治療名 + 地域名に集中する方が成果は出ます。

広告文は医療広告ガイドラインに準拠する必要がある

歯科医院のリスティング広告は、医療広告ガイドラインの規制対象です(出典 厚生労働省 医療法における病院等の広告規制)。Google広告の審査に通っても、医療広告ガイドラインに違反している広告は行政指導の対象になります。

広告文で使えない表現

  • 「無痛インプラント」「痛くない矯正」などの誇大表現
  • 「成功率99%」「満足度No.1」などの裏付けのない数値
  • 「他院で断られた方もお任せください」などの比較優良表現
  • 「必ず治る」「確実に白くなる」などの効果保証

広告文で使える表現

  • 「〇〇市でインプラント治療 △△歯科」
  • 「マウスピース矯正対応 無料カウンセリング実施中」
  • 「インプラント10年保証 費用〇〇万円から」
  • 「〇〇駅徒歩3分 矯正歯科」

事実ベースの表現であれば問題ありません。費用、立地、対応している治療、カウンセリングの有無。患者が知りたい情報を端的に伝える広告文が、結果的にクリック率も高くなります。

地域ターゲティングは商圏に合わせて設定する

リスティング広告の地域ターゲティングは、自院の商圏に合わせて設定します。Google広告では、市区町村単位、半径指定(〇km圏内)、郵便番号指定で地域を絞り込めます。

保険診療と自費診療で商圏は違う

保険診療の商圏は医院から半径2〜3km程度。患者は近所の歯医者を選びます。一方、自費診療の商圏は広い。インプラントや矯正は「良い医院があれば30分かけてでも行く」という患者が多いため、半径10〜20km、あるいは都道府県単位でターゲティングしても問題ありません。

都心の歯科医院であれば、沿線ベースで考えるのが現実的です。最寄り駅から電車で30分圏内の地域名をターゲットに含める。郊外の歯科医院であれば、車で30分圏内の市区町村を対象にする。

「所在地」ではなく「関心を持っている人」で設定する

Google広告の地域ターゲティングには「この地域にいるユーザー」と「この地域に関心を持っているユーザー」の2種類があります。歯科医院の場合は「この地域にいるユーザー」に限定する方が無駄なクリックを減らせます。「〇〇市 インプラント」と検索している人が全員〇〇市にいるわけではないため、関心ベースだと商圏外の患者にも広告が表示されてしまいます。

ランディングページは「問い合わせ」にまっすぐ導く

広告をクリックした患者が最初に見るページ(ランディングページ)の質で、問い合わせ率は大きく変わります。

ランディングページに必要な要素

  • 治療内容の概要(手術の流れ、期間)
  • 費用(税込み、幅がある場合はその理由)
  • 担当医師の経歴と実績
  • 症例紹介(ビフォーアフターがあれば。リスク・副作用の併記必須)
  • 問い合わせ・予約のボタン(ページ内に複数配置)
  • 電話番号(スマートフォンからタップで発信できる設定)

よくある失敗は、広告をクリックしたらトップページに飛ぶ設定にしていること。患者はインプラントの情報を探して広告をクリックしたのに、トップページが表示されたら「欲しい情報がすぐに見つからない」と離脱します。広告のリンク先は必ず治療の専用ページに設定してください。(広告費の3割はランディングページの設定ミスで無駄になっている、というのが実感です)

コンバージョン計測を設定しないと改善できない

リスティング広告の運用で最も重要なのは、問い合わせや予約がどのキーワードから来たかを計測することです。これを「コンバージョン計測」と呼びます。

Google広告とGoogleアナリティクスを連携させ、問い合わせフォームの送信完了ページや予約完了ページを「コンバージョンポイント」として設定する。電話発信もコンバージョンとして計測可能です。この設定をしないまま広告を出している歯科医院が少なくありませんが、計測できなければ改善のしようがありません。

「広告を出しているけど効果があるか分からない」という状態は、お金を使っているのに通帳を見ないのと同じです。コンバージョン計測の設定は広告運用の初日に必ず済ませてください。設定方法が分からない場合は、制作会社や広告運用の代行業者に依頼すれば数時間で終わります。

月額予算は5万〜20万円から始めて調整する

歯科医院のリスティング広告は、月額5万〜20万円の予算から始めるのが一般的です。

最初は小さく始めて、データを見ながら増やす

最初から月額50万円の予算を投下する必要はありません。まずは月額5万〜10万円で2〜3ヶ月運用し、どのキーワードからクリックが来ているか、問い合わせにつながっているかをデータで確認します。成果が出ているキーワードに予算を寄せ、成果が出ていないキーワードを停止する。この調整を毎月繰り返すことで、費用対効果が上がっていきます。

費用対効果の判断基準

リスティング広告の費用対効果を判断する指標は「CPA(1件の問い合わせにかかった広告費)」です。インプラントの場合、CPA 3万〜5万円であれば十分に採算が合います。矯正の場合も同程度。ホワイトニングは治療単価が低いため、CPA 5,000〜1万円以内に収めないと赤字になります。

CPAが想定より高い場合は、キーワードの見直し、広告文の改善、ランディングページの修正の順で対策を打ちます。いきなり予算を増やしても、CPAは改善しません。

最後に

歯科医院のリスティング広告は、自費診療のキーワードに予算を集中させることで費用対効果が合います。保険診療に広告費をかけても利益は残りません。インプラント、矯正、審美歯科。単価が高い治療に絞って、地域名との掛け合わせキーワードで広告を出す。

医療広告ガイドラインの規制がありますが、事実ベースの表現であれば十分に訴求力のある広告文は作れます。月額5万〜10万円の予算から始めて、データを見ながらキーワードと予算を調整していけば、広告費を回収できる水準に到達するのは難しくありません。

サイシアでは、歯科医院に特化したリスティング広告の運用代行を行っています。医療広告ガイドラインに準拠した広告設計から、ランディングページの改善提案まで対応していますので、広告運用を検討中の方はこちらからお気軽にご相談ください。

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