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自費診療に集中させるのが鉄則

クリニックがリスティング広告で成果を出すための考え方。保険診療ではなく自費診療に予算を集中させる理由、医療広告ガイドライン対応、地域ターゲティングの方法を解説します。

クリニックのリスティング広告

保険診療にリスティング広告を出しても採算が合わない

クリニックがリスティング広告(Google広告やYahoo広告で検索結果の上部に表示される広告)を始めるとき、最初に理解しておくべきことがあります。保険診療の患者をリスティング広告で集めても、ほとんどの場合は採算が合いません。

理由はシンプルです。保険診療は1回あたりの診療報酬が決まっていて、患者一人を獲得するためにかけられるコストに上限がある。風邪の患者を一人集めるのに3,000円の広告費をかけたら、利益が残りません。

一方、自費診療は価格設定の自由度が高い。美容皮膚科のレーザー治療、AGA治療、歯科のインプラントやホワイトニング、健康診断や人間ドックなど。1回あたりの単価が数万円〜数十万円になるため、広告費をかけても十分にペイする構造になっています。

クリニックのリスティング広告は、自費診療に予算を集中させる。これが大原則です。

自費診療が広告に向いている理由は「単価」と「検索意図」の2つ

自費診療がリスティング広告に適している理由は、単価の高さだけではありません。

患者の検索意図が明確で予約につながりやすい

「渋谷 シミ取り レーザー」「新宿 AGA 費用」と検索する人は、すでにその治療を受けたいと思っている状態です。情報収集の段階を過ぎて、具体的にクリニックを探している。この「今すぐ予約したい層」に広告を見せるから成果が出ます。

保険診療の場合、「渋谷 内科」で検索する患者は単純に近くの病院を探しているだけで、広告を出さなくてもGoogleマップの対策で十分に集患できます。わざわざ広告費をかけて競合と入札を競う意味が薄い。

継続的な通院が見込めるメニューは特に効果が高い

AGA治療やアンチエイジング系の美容皮膚科メニューは、1回で終わらず定期的な通院が発生します。広告費で獲得した患者が半年、1年と通い続ければ、広告投資の回収率は格段に上がる。1回きりの治療よりも、リピートが期待できるメニューに広告予算を寄せる方が効率的です。(「初回だけ来て2回目は来ない」が多い治療メニューに広告費を使うと、延々と新規を追い続けることになります)

医療広告ガイドラインに違反する広告文は審査で止まるか、行政指導を受ける

クリニックのリスティング広告には、一般的な広告にはない制約があります。医療広告ガイドラインです。Google広告やYahoo広告の審査でも医療系の広告は厳しくチェックされます。

広告文で使えない表現

厚生労働省の医療広告ガイドラインで禁止されている表現は、リスティング広告の広告文にも適用されます(出典 厚生労働省 医療広告規制)。

具体的に使えない表現の例を挙げます。

  • 「日本一」「地域No.1」などの比較優良表現
  • 「絶対に治る」「100%改善」などの治療効果の保証
  • 「〇〇大学病院出身」を過度に強調する経歴の誇張
  • 患者の体験談を広告に使うこと
  • 未承認の薬剤や治療法の推奨

ランディングページも規制の対象

広告をクリックした先のページ(ランディングページ)も医療広告ガイドラインの対象です。広告文はガイドラインを守っていても、飛び先のページにビフォーアフター写真を無条件で載せていたり、「必ず効果が出ます」と書いていたりすると、ガイドライン違反になります。

自費診療のランディングページには、施術内容の説明に加えて、費用の明示、リスクや副作用の記載、限定解除の要件を満たすための問い合わせ先の明記が必要です。これらが抜けていると、Googleの広告審査で不承認になることもあります。

地域ターゲティングで無駄な広告費を抑える

クリニックの商圏は限られています。渋谷のクリニックに札幌の人が来ることはありません。リスティング広告では、広告を表示する地域を絞ることで、無駄なクリック費用を削減できます。

半径と市区町村の両方で絞り込む

Google広告では、クリニックの所在地を中心に半径を指定して広告を配信できます。たとえば「渋谷区のクリニックから半径10km以内」のように設定する。これで遠方のユーザーに広告が表示されるのを防げます。

市区町村単位での指定も可能です。最寄り駅の周辺エリア、隣接する区、通勤圏内で通える範囲。自院の患者がどこから来ているかの実績データがあれば、それを基準に配信エリアを決めてください。

配信エリアは広げすぎない

「広いエリアに出した方が患者が増えるのでは」と思いがちですが、エリアを広げると1クリック当たりの来院率が下がります。電車で30分以上かかるクリニックに、わざわざ通おうとする患者は少ない。自費診療でも、よほど専門性が高い治療でなければ、患者は近場で済ませたいと考えるのが普通です。

まずは狭いエリアから始めて、成果を見ながら段階的に広げる。これが広告予算を無駄にしない方法です。(最初から東京23区全域に配信して、クリック費だけかかって予約がゼロだった、というケースは珍しくありません)

広告で使うキーワードは「治療名+地域名」に絞る

リスティング広告のキーワード選びは、成果を左右する最大の要素です。クリニックの場合、キーワードの選び方にはっきりした型があります。

予約に直結するキーワードの例

自費診療でリスティング広告を出す場合、効果が出やすいキーワードのパターンは「治療名+地域名」です。

美容皮膚科であれば、「シミ取り 渋谷」「ニキビ跡 レーザー 新宿」「ほうれい線 ヒアルロン酸 東京」。AGA治療であれば、「AGA治療 渋谷」「薄毛治療 費用 東京」。このように、治療を受けたい人が実際に入力するであろうキーワードを設定します。

「皮膚科 渋谷」のような診療科目名だけのキーワードは、保険診療で来る患者も含まれるため費用対効果が落ちます。自費診療に広告を集中させるなら、治療名を含むキーワードに絞った方が無駄がありません。

除外キーワードの設定も重要

「口コミ」「評判」「失敗」などのキーワードで検索する人は、まだ情報収集の段階か、ネガティブな情報を探している段階です。広告をクリックしても予約にはつながりにくい。こうしたキーワードは「除外キーワード」として設定し、広告が表示されないようにします。

「求人」「看護師 募集」なども除外してください。採用を目的とした検索に広告が表示されてクリック費だけかかる、という無駄は意外と発生します。

月額予算は10〜30万円から始めて成果を見る

クリニックのリスティング広告にかける月額予算は、10〜30万円がスタートラインです。

この予算感は自費診療の単価と期待する患者数から逆算できます。たとえば、シミ取りレーザーの施術単価が3万円で、広告経由で月10人の予約を目標にする場合。1人当たりの獲得コスト(広告費)を5,000〜10,000円と想定すると、月額5〜10万円の広告費が必要になります。

最初から大きな予算を投じない

広告運用を始めたばかりの段階では、どのキーワードが予約につながるか、どの曜日・時間帯にクリックが多いか、広告文のどの表現が効果的か、データがまだ揃っていません。最初の1〜2ヶ月は小さな予算でデータを貯め、成果の出るキーワードや設定を見つけてから予算を増やす。この順番が大事です。

月額5万円以下だとクリック数が少なすぎてデータの傾向が見えない場合があります。逆に最初から50万円以上を投じると、最適化が済んでいない状態で無駄なクリックが発生するリスクがある。10〜30万円で始めて、3ヶ月程度で成果が見えるキーワードを特定し、そこに予算を集中させるのが堅実な進め方です。

広告運用を自分でやるか、代理店に任せるか

Google広告の管理画面は近年かなり使いやすくなっていますが、医療広告ガイドラインへの対応や除外キーワードの設計、入札単価の調整など、成果を出すためにはそれなりの知識と時間が必要です。

院長が診療の合間に広告運用をするのは現実的ではありません。医療系の広告運用実績がある代理店に任せるのが、時間対効果の面では合理的です。代理店の手数料は広告費の20%前後が相場。月額広告費20万円なら手数料は4万円程度です。

代理店を選ぶ際は、医療系クリニックの運用実績があるかどうかを確認してください。一般的なEC向けの広告運用ノウハウだけでは、医療広告ガイドラインへの対応が不十分になりがちです。

広告のランディングページは治療メニューごとに分ける

リスティング広告をクリックした先のページ(ランディングページ)は、広告で訴求している治療メニューに特化した内容にしてください。

「シミ取り レーザー 渋谷」の広告をクリックしたのに、クリニックのトップページに飛ばされる。トップページから「診療メニュー」を探し、その中から「シミ取りレーザー」を見つけなければならない。この手間が発生すると、患者は離脱します。

治療メニューごとに専用のランディングページを用意し、そのページ内で施術の説明、費用、施術の流れ、リスクと副作用、予約ボタンまで完結させる。広告をクリックした患者が余計な遷移なく予約できる状態を作ることが、広告の費用対効果を最大化するポイントです。

ランディングページには医療広告ガイドラインの要件として、施術費用の明示、リスク・副作用の記載、問い合わせ先の明記が必要です。これらが抜けていると、広告審査で不承認になるか、行政指導の対象になります。(ランディングページのガイドライン対応が甘いクリニックの広告、審査で止まったまま何週間も放置されているケースを見かけます)

保険診療の広告は不要、ただし例外がある

基本的に保険診療にリスティング広告は不要です。Googleマップの対策とホームページの充実で十分に集患できます。ただし、例外的に広告が効果を発揮するケースがあります。

新規開業直後の認知獲得です。開業したばかりのクリニックは口コミもなく、Googleマップの対策も効果が出るまでに時間がかかる。この時期に「地域名+診療科目」で短期間だけ広告を出し、認知度を一気に上げるという使い方はあります。目安として開業から3〜6ヶ月程度、Googleマップでの順位が安定するまでの期間限定で運用する形です。

あるいは、特定の時期に需要が集中する診療メニュー。インフルエンザの予防接種シーズンや花粉症シーズンに合わせて、1〜2ヶ月の短期集中で広告を出す。通年で出し続ける必要はなく、需要のピークに合わせてピンポイントで投入するのが賢い使い方です。

最後に

クリニックのリスティング広告で成果を出すための考え方はシンプルです。自費診療に予算を集中させ、地域を絞り、治療名と地域名を組み合わせたキーワードで運用する。保険診療の集患はGoogleマップに任せ、広告は単価の高い自費診療に使う。この切り分けが重要です。

医療広告ガイドラインへの対応は、広告文だけでなくランディングページも含めて確認してください。ガイドライン違反は行政指導のリスクがあるだけでなく、広告審査で不承認が続けばアカウント停止の可能性もあります。

サイシアでは、医療広告ガイドラインに準拠したクリニックのリスティング広告運用を支援しています。「自費診療の集患を強化したい」「広告を出しているが成果が出ない」という方は、クリニック向け広告運用のサービスページからお問い合わせください。

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