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AIホームページ制作、業界別の向き不向き

AIでのホームページ制作は全業界で有効ではありません。写真に実在感が必要かどうかで、士業・製造業・店舗系の適性を、実際に生成したサンプルサイトと公開・運用時の注意点まで整理します。

Web制作

AI制作の成否を分けるのは「写真に実在感が必要かどうか」

「AIでホームページを作る」という選択肢は、どの業界でも使える万能薬ではありません。うまくハマる業界と、逆に信頼を落とす業界がはっきり分かれます。

分かれ目はシンプルで、サイトに載せる写真に「実在感(本物のその場所・その人である必要性)」が求められるか、「雰囲気だけ伝われば成立するか」です。この軸で考えると、業界ごとの適性が一気に見えてきます。

弊社でもAI制作の相談はここ半年で急増していますが、最初に必ず確認するのがこの点です。業界の性質とAIの得意領域を合わせないと、作った瞬間に「いかにもAI」の空気が出て、逆効果になってしまいます。

士業・法人系はAI制作との相性が良い

税理士、司法書士、弁護士、行政書士、社会福祉法人。このあたりの業界はAI制作ととても相性が良いです。

理由はシンプルで、依頼者が判断する材料の大半が「サービス内容」「実績」「料金体系」「専門分野」といったテキスト情報だからです。握手しているビジネス写真、綺麗なオフィス、書類を指差すスーツ姿。このあたりは「いかにもそれっぽい雰囲気」として通用するので、AI生成でも写真素材集(ストックフォト)でも違和感は出にくいです。

プロフィール写真だけは実物が必須

士業は「誰に頼むか」が最大の論点なので、代表者のプロフィール写真にAI生成を入れると一気に嘘くさくなります。ここ1枚さえプロ撮影で用意すれば、残りはAIでほぼ問題なく組めます。

製造業やお寺などはAIと実写の組み合わせが基本

製造業、建設業、不動産、お寺・寺院、葬儀社。この層は完全にAIだけで作るのが難しく、AI生成と実写の組み合わせが基本になります。

理由は、設備・施工実績・物件・境内の風景といった「その会社にしかない固有の物」を見せる必要があるからです。不動産のサイトでAI生成の物件写真を載せたら、それはもう誇大広告に近いものになってしまいます。製造業の加工機械も、自社が持っている機材でなければ意味がありません。

ページの構成や雰囲気イラストはAI、設備や境内の写真は実写

サイトの骨格設計(ワイヤーフレームと呼ばれる、各ページの情報の並び順を示した設計図)、業界に合ったシンプルで手堅いレイアウト案、採用ページの雰囲気イラスト、ブログ記事の説明図。このあたりはAIが圧倒的に早いです。実写が必要な部分だけ撮影に回し、構造と雰囲気づくりをAIでまとめると、コストを半分以下に抑えられます。

葬儀社やお寺は「落ち着いた雰囲気」をAIで作り込みすぎない

葬儀社やお寺の場合、「静かで落ち着いた雰囲気」や「厳かな感じ」をAIで作り込みすぎると、かえって嘘くさくなってしまいます。本物の空気感を伝える実写と、AI生成の補助イメージのバランスを慎重に決める必要があります。

店舗・対人サービスではAI写真の使用に注意が必要

飲食店、医療・クリニック、歯科医院、整骨院・接骨院、美容・サロン。ここはAI写真を安易に入れると、ほぼ確実に集客効果が落ちます。

ユーザー心理は「失敗したくない」の一点です。写真から得られる「料理のシズル感」「院内の清潔感」「スタッフの雰囲気」を極めてシビアにチェックしているからです。

飲食店で言えば、AI生成の料理写真は「食べた時の味」を想像させる力が弱いです。医療・整骨院では、施術中のAI写真は「本物のプロが施術している感じ」が出にくく、むしろ「本当にちゃんとした施術を受けられるのか」という疑念を生みます。美容サロンの最新のカラーリングも、実際にその美容師が手掛けた写真がなければ技術の証明になりません。

この業界でAIを使うなら、「写真は全部実写・骨格だけAIで作る」という割り切りが必要になります。

実際にClaude Designで整骨院とお寺のサイトを作ってみた

机上の話だけだと分かりにくいので、弊社で実際にAI生成したサンプルサイトを2つ紹介します。どちらもClaude Designで、プロンプトを1〜2往復投げただけで出てきた一発モノです。

パッと見の印象では、どちらも「中小規模の制作会社が数十万円で作るサイト」に十分肩を並べる仕上がりになっています。レイアウト、配色、文字の見せ方、各セクションの情報の並べ方までほぼそのまま使える水準です。

写真さえ差し替えれば最低限のクオリティになる

ただし、よく見ると写真まわりに違和感がいくつも残っています。

整骨院のサンプルでは、なぜか外国人のモデル写真が使われていたり、施術メニューの説明と並んでいる写真に関連性がなかったり、写真ごとの色味や雰囲気(トンマナ)が揃っていなかったりします。院内写真もすべてAIによる仮画像で、実際の院内とは無関係のビジュアルが並んでいます。お寺のサンプルも同様で、境内の風景や年間行事の写真がちぐはぐな状態です。

逆に言えば、この写真の部分さえ自社の実物写真に差し替えられれば、最低限のクオリティは担保できる、ということです。

この2つのサンプルが証明しているのは、「骨格はAIで一発、でも写真は差し替え前提」という運用が現実的だという事実です。

ホームページのAI生成はClaudeかManusが現状のおすすめ

弊社で各種AIツールを試した結果、ホームページ生成に使えるレベルにあるのは2026年4月現在、実質的にClaudeとManusの2つです。

Claude(Claude Design / Artifacts)

HTMLとCSSを直接生成してくれて、レイアウトの審美眼が安定しています。上のサンプルもClaude Designで作ったものです。「コーポレートサイトっぽい堅実さ」を指示で出しやすいのが強みで、まず触ってみるならこちらが無難です。

Manus

より自律的にサイト構造を設計してくれるタイプです。要件をざっくり伝えると、サイト全体のページ構成から各ページの文章まで一気に組んでくれます。情報量が多いサイトや複数ページ構成を前提にするなら使いやすいです。

他の画像生成系AIや、テンプレート挿入型のノーコードツールも出ていますが、ホームページ「全体」を作る意味では、現状この2つが抜けています。まずClaudeで骨格を作ってみて、その後必要に応じてManusで情報量を足す、という流れが失敗しにくいです。

(半年後にはまた別のツールが出ている可能性も高いので、ここは毎月のアップデートが必要な領域ではあります)

AI生成後の公開にはドメインとサーバー契約が必要

AIがサイトを作ってくれた、という話と、そのサイトを実際に公開する、という話はまったく別物です。ここで詰まる経営者が本当に多いです。

最低限必要な契約と費用

独自ドメイン(サイトの住所となるURL)の取得(お名前.com、ムームードメインなどで年間1,500〜3,000円)、サーバー契約(エックスサーバーやさくらインターネットで月額1,000〜2,000円)、SSL証明書(通信を暗号化する仕組み)の設定、サイトのアップロード。ここまで揃えて初めて世の中に公開される状態になります。

メールフォームは動作しないのがデフォルト

ClaudeやManusが生成したフォームは、見た目だけで動作しないケースがほとんどです。Googleフォームの埋め込み、formrunなどの外部サービス連携、またはサーバー側での実装が別途必要になります。

(「作ったのはいいけど公開できない」「問い合わせフォームが動いていないことに3ヶ月後に気付いた」という相談は、弊社にも実際にきます)

AI完結が向くのは「定期更新がない業態」だけ

ここが意外と知られていない最大の落とし穴ですが、AIで生成したHTMLだけでホームページを完結させると、公開後の更新はほぼできないと思ったほうが良いです。

通常はWordPressを入れて社内で更新する

お知らせ・ブログ・新着情報を月に数回更新したい業態では、WordPressなどのCMSを組み込むのが一般的です。社内のスタッフが管理画面から入稿できる状態にしておかないと、毎回制作会社に依頼することになってしまいます。

AI完結のサイトには後からCMSを入れにくい

ところが、AIで生成した素のHTMLに後からWordPressを載せようとすると、サイトの中身を大きく作り直すことになります。デザイン部分の移し替え、ページ構成の組み替え、WordPressのテンプレートへの落とし込み。結局ゼロから作り直したほうが早い、というケースもよくあります。

つまりAI完結に向いているのは、「お知らせや実績を頻繁に更新しない」業態だけです。士業事務所、地域密着の工務店、個人経営のお寺、会社概要レベルのコーポレートサイト。このあたりなら年に数回の手動更新で回せます。

一方、飲食店の季節メニュー、美容室の新メニュー、整骨院のキャンペーン、不動産の新着物件のように、定期発信が集客の前提になる業態は、最初からCMS込みで設計したほうが安全です。

後からの改修依頼は費用が跳ね上がる

「とりあえずAIで作ったから、あとは部分的に直してほしい」という依頼も増えていますが、これが意外と高額になります。AIが生成するサイトの中身(HTMLやCSSと呼ばれるコード)は、人間の制作者が書くものとは作り方が違うことが多く、制作会社が引き継ぐ際に中身の読み解きに時間がかかるからです。

弊社でも、AI生成サイトの改修案件は、ゼロから作り直した方が総額で安いケースが半分くらいあります。「最初にAIで無料で作った分のコストを、改修フェーズで倍返しする」構図になりがちです。

AIで骨組みを作り、浮いた予算を撮影に回すのが現実解

ここまで読んで分かるのは、「AIで全部やる」も「全部プロに頼む」も、どちらも極端すぎるということです。

現実的な最適解は、ページ設計・レイアウト・コーディングといった骨格部分をAIで作って、そこで浮いた予算を写真撮影や原稿ライティングに回す、という配分です。

従来100万円で作っていたサイトで考えると、デザイン・コーディング費が仮に60万円だったとして、その部分をAI+制作会社の監修で30万円に圧縮できます。余った30万円を、プロのカメラマン(10〜20万円)とライティング(10万円)に回します。写真のクオリティが上がった分、サイトの成果は確実に上がります。

「AI=手抜き」ではなく、「AIで骨組みを任せて、人間にしかできない部分に予算を集中させる」という発想に切り替えると、AI制作は急に現実的な選択肢になります。

最後に

AIでのホームページ制作は、業界ごとに向き不向きが明確に分かれます。士業・法人系は相性が良く、店舗・対人サービスは写真の問題で慎重さが必要です。産業・地域資源系はハイブリッドが基本になります。

ClaudeやManusで骨格は一発で作れる時代ですが、「公開・更新・改修」はまた別の話です。特に定期的な情報発信がある業態でAI完結を選ぶと、運用フェーズで必ず詰まります。

サイシアでは、AI生成を前提とした低コスト制作から、CMS込みの本格運用を前提としたハイブリッド制作まで、業界特性と更新頻度に応じた提案を行っています。「AIでどこまで任せて、どこをプロに頼むか」という線引きからご相談を受けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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