「専門分野×地域名」で費用対効果を上げる方法
税理士事務所がリスティング広告で顧問先を獲得するための考え方。相続・会社設立などの専門分野×地域名キーワード、税理士法に配慮した広告文、月額10〜30万円の予算配分を解説します。

税理士事務所のリスティング広告は月10〜30万円が目安
税理士事務所のリスティング広告は、月10〜30万円の予算で運用しているケースが多いです。整骨院や飲食店と比べると高めに見えますが、これは1件の顧問契約が年間数十万〜数百万円の売上になることを考えれば、十分にペイする金額です。
日予算に換算すると3,300〜10,000円。税理士系のキーワードはクリック単価が500〜2,000円程度になることが多く、1日あたり3〜20クリックが取れる計算です。この規模感を前提に、キーワードと配信エリアの設計を組み立てます。
最初から30万円を投入する必要はありません。月10万円で始めて、2〜3ヶ月分のデータが取れたら予算を増やす。この段階的なアプローチが現実的です。
「税理士」単体ではなく「相続税 税理士 地域名」で狙う
「税理士」の1語だけで広告を出すと、「税理士 試験」「税理士 年収」「税理士 なるには」といった、顧問契約には一切つながらない検索にも広告が表示されます。クリック単価だけ払って問い合わせゼロ、という事態が起きます。
狙うべきは「専門分野+税理士+地域名」の掛け合わせです。
- 「相続税 税理士 横浜」
- 「会社設立 税理士 渋谷」
- 「確定申告 税理士 大阪」
- 「節税 相談 税理士 名古屋」
こうした3語以上のキーワードは、検索ボリュームは小さいものの、検索している人の意図が明確です。「横浜で相続税に強い税理士を探している」という人に広告を出せるので、問い合わせにつながる確率が段違いに高い。
事務所の強みに合わせてキーワードを選ぶ
「何でもやります」の事務所でも、広告で狙うキーワードは得意分野に絞るべきです。相続に強いなら相続系、会社設立の依頼が多いなら会社設立系。5〜15個のキーワードに完全一致で予算を集中させます。
すべての分野を網羅しようとすると、1キーワードあたりの予算が薄くなりすぎてデータも取れません。まずは最も問い合わせにつながりやすい分野に絞り、成果が見えてから他の分野に広げるのが正攻法です。
顧問契約のLTVから逆算すると、1件あたりの許容広告費は意外と高い
税理士事務所のリスティング広告は、飲食店やECサイトの広告とは判断基準が違います。1回きりの購入ではなく、顧問契約という継続取引を獲得するための広告だからです。
顧問料が月額3万円の法人顧問先を1件獲得したとします。年間36万円、3年続けば108万円の売上です。仮に広告費10万円で1件の顧問契約が取れたとしたら、投資対効果としては十分すぎます。
(「広告で10万円使って1件しか取れなかった」と嘆く所長がいますが、その1件が3年で100万円以上になるなら、むしろ安い投資です)
CPAの目安を決めておく
CPA(顧客獲得単価)とは、1件の問い合わせを獲得するのにかかった広告費のことです。月の広告費10万円で5件問い合わせがあればCPAは2万円。問い合わせから成約に至る割合も含めて考えると、税理士事務所の場合、1件の成約あたり5〜15万円程度の広告費は許容範囲に収まることが多い。
この数字を事前に決めておくと、広告が「うまくいっているかどうか」の判断軸がぶれません。
税理士法に配慮した広告文の注意点
税理士のリスティング広告では、税理士法の広告規制に配慮が必要です。2002年の規制緩和で税理士業の広告は原則自由化されましたが、いくつかの制限は残っています(出典 日本税理士会連合会「税理士の業務広告に関する規則」)。
避けるべき表現は以下の通りです。
- 「節税額〇〇万円を保証」のような成果保証表現
- 「地域No.1」「実績最多」など客観的根拠のない比較表現
- 他の事務所を名指しで批判する表現
- 報酬額について誤認を招く表現(「顧問料0円」と書いて実は条件付き、など)
逆に、広告文で訴求できるポイントは多くあります。
- 対応可能な業務(相続、会社設立、確定申告、税務調査対応など)
- 事務所の所在地、最寄駅からのアクセス
- 初回相談無料かどうか
- 対応可能な曜日・時間帯
- 税理士の人数や経歴
「相続税申告に対応・横浜駅5分・初回相談無料・税理士3名在籍」。この程度の情報量でも、検索ユーザーにとっては十分に判断材料になります。
税理士ドットコムに手数料を払い続けるか、広告で自力集客するかの判断基準
税理士ドットコムなどのマッチングサイトを利用している事務所は多いです。マッチングサイト経由で顧問先を獲得している実績があるなら、いきなりやめる必要はありません。
ただ、マッチングサイトには構造的な問題があります。同じ案件に複数の事務所が提案するため価格競争に陥りやすいこと、成約時に紹介手数料が発生すること、そして何より、集客を他社のプラットフォームに依存している状態になることです。
リスティング広告と併走させてデータで判断する
月10万円のリスティング広告を3ヶ月ほど走らせると、1件の問い合わせにいくらかかるかのデータが見えてきます。マッチングサイト経由の獲得コスト(紹介手数料)と比較して、どちらが費用対効果が高いかを数字で判断できます。
広告経由の問い合わせは、自院のサイトを見て直接連絡してくる人です。マッチングサイト経由の「相見積もり前提」の問い合わせと比べて、成約率が高い傾向があります。値段だけで比べられにくい、という利点もある。
(マッチングサイトで安い見積もりを出し続けて疲弊している事務所を何度も見てきました。そこから抜け出すには、自力で集客できる仕組みが必要です)
確定申告時期の2〜3月は競争激化 — 閑散期に仕込むのが賢い
確定申告の時期(2〜3月)は「確定申告 税理士」の検索ボリュームが急増します。当然、広告を出す事務所も増え、クリック単価が跳ね上がります。同じキーワードで通常期の1.5〜2倍のクリック単価になることも珍しくありません。
この時期に急いで広告を出すのはおすすめしません。他の事務所も同じことを考えているため、予算の消化が早く、費用対効果が悪化しやすい。
広告の立ち上げは閑散期に済ませる
6〜11月の閑散期にアカウントを開設し、キーワードの選定・除外KWの設定・広告文のテストを済ませておく。データが蓄積された状態で繁忙期を迎えれば、無駄の少ない運用ができます。
また、閑散期は「相続税 税理士」「会社設立 税理士」のように確定申告以外の分野で広告を運用するのに適した時期でもあります。相続や会社設立は時期を問わず発生するため、年間を通じて安定した問い合わせが期待できます。
繁忙期だけスポットで広告を出すと、アカウントのデータが蓄積されず、毎年ゼロからの立ち上げになります。年間を通じて細く長く運用する方が、結果的に費用対効果は高い。
最後に
税理士事務所のリスティング広告は、「専門分野×地域名」のキーワードに絞り、月10〜30万円の予算で運用するのが基本です。顧問契約のLTVを考慮すれば、1件あたりの広告費が5〜15万円かかっても十分にペイします。
マッチングサイトに依存した集客から脱却するには、自力で問い合わせを獲得できる仕組みが必要です。リスティング広告はそのための有力な手段ですが、キーワード設計・除外KW運用・税理士法への配慮など、初期設計に専門知識が求められます。
サイシアでは、税理士事務所のリスティング広告運用を支援しています。キーワード設計から広告文の作成、月次レポートまで一括で対応可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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